【社労士試験2023】第14次労働災害防止計画(2023年度~2027年度)まとめ

社労士
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「労働災害防止計画」とは、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。労働安全衛生法に基づいて厚生労働大臣が定めることとされており、2023年 4 月~ 2028年 3 月までの 5 年間を計画期間とする「第 14 次労働災害防止計画」が2023年3月8日に策定されました。

以下はまとめになります。

厚生労働省「労働災害防止計画について」

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選択対策

長々と書いてありますが色字のところだけ覚えればOKよ。

2023 年度から 2027 年度までの5か年を計画期間とする。

陸上貨物運送事業における死傷者数を 2022 年と比較して 2027 年までに5%以
上減少させる。
建設業における死亡者数を 2022 年と比較して 2027 年までに 15%以上減少させ
る。

母国語に翻訳された教材や視聴覚教材を用いる等外国人労働者に分かりやすい
方法で労働災害防止の教育を行っている事業場の割合を 2027 年までに 50%以上
とする。

・「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」(平成 25 年3
月 25 日付け基発 0325 第1号。以下「荷役作業における安全ガイドライン」と
いう。)に基づく措置を実施する陸上貨物運送事業等の事業場(荷主となる事業
場を含む。)の割合を 2027 年までに 45%以上とする。
墜落・転落災害の防止に関するリスクアセスメントに取り組む建設業の事業場の
割合を 2027 年までに 85%以上とする。
・機械による「はさまれ・巻き込まれ」防止対策に取り組む製造業の事業場の割合
を 2027 年までに 60%以上とする。
・「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」(平成 27 年 12
月7日付け基発 1207 第3号。以下「伐木等作業の安全ガイドライン」という。)
に基づく措置を実施する林業の事業場の割合を 2027 年までに 50%以上とする。

年次有給休暇の取得率を 2025 年までに 70%以上とする。
勤務間インターバル制度を導入している企業の割合を 2025 年までに 15%以上
する。
メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合を 2027 年までに 80%以上とする。
・使用する労働者数 50 人未満の小規模事業場におけるストレスチェック実施の割
合を 2027 年までに 50%以上とする。
・各事業場において必要な産業保健サービスを提供している事業場の割合を 2027
年までに 80%以上とする。

・労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号。以下「法」という。)第 57 条及び第 57
条の2に基づくラベル表示・安全データシート(以下「SDS」という。)の交
付の義務対象となっていないが危険性又は有害性が把握されている化学物質に
ついて、ラベル表示・SDSの交付を行っている事業場の割合を 2025 年までに
それぞれ 80%以上とする。

・法第 57 条の3に基づくリスクアセスメントの実施の義務対象となっていない
危険性又は有害性が把握されている化学物質について、リスクアセスメントを行
っている事業場の割合を 2025 年までに 80%以上とするとともに、リスクアセス
メント結果に基づいて、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置
実施している事業場の割合を 2027 年までに 80%以上とする。

転倒による平均休業見込日数を 2027 年までに 40 日以下とする。

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択一対策

死亡災害については、死亡者数が平成 27 年に 1,000 人を切った後も、減少傾向
ある。令和3年の死亡者数は、867 人であり、うち、建設業が 288 人最も多く、次
いで製造業が 137 人となっている。事故の型別に見ると、建設業においては高所から
「墜落・転落」が 110 人最も多く製造業においては、機械等による「はさまれ・
巻き込まれ」が 54 人最も多い
第 13 次労働災害防止計画の重点対象となっていた林業についても、令和3年の
亡者数は 30 人過去最少ではあったが、伐木作業等における「激突され」が、うち
15 人を占めている。

死傷災害については、第 13 次労働災害防止計画期間中、増加傾向にある。令和2
年及び令和3年については、新型コロナウイルス感染症へのり患による影響もある
が、その影響を除いても死傷災害件数、年千人率ともに増加傾向にある。その内訳を
見ると、事故の型別では、「転倒(23%)」「動作の反動、無理な動作(14%)」
が合わせて死傷災害全体の約4割(37%)を占めている。業種別では、第三次産業が
5割以上を占めているが、その内訳を見ると、事故の型別は、「転倒(28%)」や「動
作の反動・無理な動作(16%)」と労働者の作業行動に起因する死傷災害が4割以上
を占めている。そのうち、転倒災害の発生率は身体機能の影響も大きく、性別・年齢
別で大きく異なる。男女ともに中高年齢層で発生率が高くなっており、特に女性60
歳代以上では 20 歳代の約 15 倍となっている等、高年齢の女性の転倒災害の発生率が
高くなっている。
さらに、外国人労働者の労働者数の増加に伴い、外国人労働者の死傷者数も増加傾
向にある。
これらの労働災害の防止対策を強化する必要がある。

全年齢に占める 60 歳以上の高年齢労働者の割合は、右肩上
がりで増加しており、令和3年のデータでは約2割となっている。また、高年齢労働
者は身体機能の低下等の影響により労働災害の発生率が高く、その結果、同年の 60
歳以上の高年齢労働者の休業4日以上の死傷者数の全年齢に占める割合は 25%を超
えているほか、被災した場合の休業期間も若年層と比較して長くなっている。このた
め、高年齢労働者が安全に働ける環境づくりが必要である。

年齢別・経験期間別死傷年千人率を見ても、経験年数が1年未満の労働者の死
傷年千人率は、経験年数が1年以上の労働者の死傷年千人率に比べて高く、特に 50~
59 歳の年齢階層で見た場合は3倍近い差が出ている。これらの状況に鑑みれば、第三
次産業等、労働者が増加している又は労働者の入れ替わりが頻繁である業種におい
て、安全衛生対策の取組を強化することが重要である。

一方で、例えば平成 30 年労働安全衛生調査(実態調査)によれば、安全衛生管理
の水準が低下したと答えた卸売業及び小売業の事業場において、その低下の理由につ
いては経営環境の悪化で、安全衛生に十分な人員・予算を割けない29.0%)」
正社員以外の労働者が増えたため、管理が難しくなっている28.7%)」等が挙げ
られている。
また、平成 29 年労働安全衛生調査(実態調査)によれば、卸業及び小売業の事業
場において正社員以外(派遣労働者を除く。)の労働者を過去 1 年間における安全衛
生活動に参加させた割合は6割59.0%にとどまり、その理由としては、危険な作
業に従事していないことのほか、「安全衛生活動を特に実施していない(17.5%)」、
「勤務中に作業以外の活動を行わせる余裕がない(17.5%)」、「勤務時間帯、曜日
がばらばらのため(16.7%」となっている。
このように厳しい経営環境等様々な事情で安全衛生対策の取組が遅れている状況
がある。さらに、世界的な原油価格高騰や物流コストの上昇、消費者・利用者へのサ
ービス向上等の観点から、製造、物流等において少人数でより効率的・効果的に、短
い納期で業務を実施・処理することが求められていることも、労働災害増加の要因の
一つと考えられる。

令和3年労働安全衛生調査(実態調査)によれば、メンタルヘルス対策に取り組ん
でいる事業場の割合は、使用する労働者数 50 人以上の事業場94.4%である。一方、
使用する労働者数 50 人未満の小規模事業場の取組率は、30~49 人で 70.7%、10~29
人で 49.6%となっており、特に使用する労働者数 30 人未満の小規模事業場におい
て、メンタルヘルス対策への取組が低調である。

また、精神障害等による労災請求件数及び認定件数は増加傾向にある。
使用する労働者数 50 人未満の事業場がメンタルヘルス対策に取り組んでいない理
については、令和2年労働安全衛生調査(実態調査)によれば、①該当する労働者
がいない(44.0%)、②取り組み方が分からない(33.8%)、③専門スタッフがいな
い(26.3%となっており、小規模事業場を中心にメンタルヘルス対策の取組支援が
引き続き必要となっている。

週労働時間 40 時間以上である雇用者のうち、週労働時間 60 時間以上の雇用者の割
合は、緩やかに減少している(令和3年:8.8%(労働力調査))ものの、依然として
過重労働により脳・心臓疾患を発症したとして労災認定される事案が発生しており、
引き続き、時間外・休日労働時間※を削減する必要がある。
※休憩時間を除き1週間当たり 40 時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間

また、年次有給休暇の取得率は、増加傾向にある令和3年:58.3%(就労条件総
合調査))が、引き続き、年次有給休暇の取得を促進し、年次有給休暇を取得しやす
い環境を整備する必要がある。
さらに、勤務間インターバル制度を導入している企業の割合も同様に増加傾向にあ
(令和4年:5.8%(就労条件総合調査))が、引き続き、労働者の健康の保持や仕
事と生活の調和を図るため、勤務間インターバル制度の導入を促進する必要がある。

労働力人口における通院者の割合が増加を続ける(平成 31 年:36.8%(国民生活
基礎調査))一方で、治療と仕事を両立できる取組(通院や体調等の状況に合わせた
配慮、措置の検討、両立支援に関する制度の整備等)を行っている事業場の割合は
41.1%(令和3年労働安全衛生調査(実態調査))であり、事業場規模が小さいほど、
その割合も小さい。疾患を抱えながら働きたいと希望する労働者が、安心・安全に就
業を継続でき、かつ、事業者の継続的な人材の確保、労働者の安心感やモチベーショ
ンの向上による人材の定着、生産性の向上につながるよう、治療と仕事の両立支援の
推進が必要である。

化学物質の性状に関連の強い労働災害(有害物等との接触、爆発、火災によるもの)
年間約 500 件発生しており、減少がみられない。業種別には、製造業のみならず、
建設業、第三次産業における労働災害も多い。また、特定化学物質障害予防規則(昭
和 47 年労働省令第 39 号)等による個別規制の対象外となっている物質による労働災
害が、これら化学物質による労働災害全体の8割を占めている。しかしながら、事業
場の化学物質対策の取組状況について、法第 57 条及び第 57 条の2に基づくラベル表
示・SDSの交付の義務対象となっていないが危険性又は有害性等を有するとされる
化学物質の全てについて、ラベル表示、SDS交付、リスクアセスメントを実施して
いる事業者の割合は、令和3年において、それぞれ 69.9%、77.9%、66.2%となっている。

・安全衛生対策に取り組む事業者が社会的に評価されるよう、「安全衛生優良企業公
表制度」、「SAFEコンソーシアム」のみならず、「健康経営優良法人認定制度」
等既存の安全衛生に関する取組の見える化を図る仕組みも活用し、これらの制度や
当該制度を導入する事業場を広く周知する

 

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